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update: 2008.11.19
Column about 六本木WAVE
ミュージシャン’sミュージックショップとしての六本木WAVE (by 生方則孝)
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ミュージシャン’sミュージックショップとしての六本木WAVE
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 ミュージシャンズ・ミュージシャンと言う言葉がある。音楽家の手本になる様な音楽家、あるいは音楽をやっている人間が敬意を払うミュージシャン、という意味で、この称号を最初に与えられたのは、私の記憶が確かならば、リアル・ワールドを起ち上げた後のピーター・ガブリエルだと言えば、判る人には判るだろう。
 ミュージシャン’sミュージシャンと言う言葉があるなら、ミュージシャン’sミュージックという言葉もあって良いに違いない。ミュージシャンが好んで聴く音楽、あるいは手本にしたくなる音楽だ。
 六本木WAVEはまさに、そんなミュージシャンズ・ミュージックの宝庫、であり、更に言えばミュージシャンズ・ミュージックショップだった。ここにはおそらく他の店では見ることもない様なアルバムが、大量に並んでいた。勿論ジャンル毎に整理されているから、どんな種類の音楽か、くらいは判るのだけれど、見たことも聴いたこともないアーティスト名とアルバムタイトル、ジャケットだけでは、内容が想像もつかない。こういう場合、特に30×30のアナログレコードは、ジャケ買いと言ってジャケットのデザインの善し悪しで選ぶ、と言う技があるのだけれど、これはある意味リスキーだ。確率的にジャケットデザインの良い物は、内容も良い場合が多いのだが、勿論例外はある。それよりも逆に、デザインになっていない様なひどいジャケットの名盤を、見逃してしまう可能性の方が高いのだ。
 しかしここでは、試聴して内容を確かめてから買うことが出来た。記憶によれば、確かアナログレコードは、カウンターに持って行くと、店の人がターンテーブルに乗せてくれ、ヘッドフォンで聴くことが出来たと思う。このシステムはWAVEが初めてではないのだけれど、手間も人手も時間もかかるので、試聴出来る店は当時稀少だった。
 CDは、今みたいにデータ化してiTunesで聴く事の出来る時代ではないし、アナログのレコードと違って密封されているから、一旦封を破ってしまえば、商品価値が無くくなるので、大がかりなジュークボックスのようなシステムで、店がピックアップした試聴盤を聴いていたと思う。その後に登場したタワレコやHMVヴァージン・メガストアーなどでも試聴は出来たけど、WAVEはその種類が桁違いに豊富だった。知名度や人気よりも内容で音楽を選ぶことが出来たのだ。
 しかしこれだけでは、六本木WAVEがミュージシャンズ・ミュージッショップだと言うことの説明にはもちろん不充分だが、それはやがて本文の中で、少しずつ明らかになっていくだろう。
ピーター・ガブリエル
5枚目のソロ・アルバム。全英1位をはじめ世界で大ヒットした。それまで音楽的、社会的に取り組んできた第3世界へのアプローチとポップ性を見事にマッチさせた作品。この後自らのレーベル「リアル・ワールド」を設立する。(編集部)
価格:2,548 円
発売:2003.08.20
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 さて、時計を進めて、1999年の暮れにWAVEが閉店したと言うニュースを見るまで、私はWAVEがレコード店である、と言う認識は実は持っていなかった。記事にあった「レコード店」という単語に、妙な違和感を感じたものだ。確かに数フロアに渡ってレコード売り場が占めていたし、ここでの買い物と言えば、ほとんどがレコードだ。それでもレコード店と言う定義が相応しくない気がする理由の一つには、まずこの店の外観がある。
 時は遡って私がまだ二十歳くらいで、美大を中退して音楽一本に絞ろうとかどうしようかと言う頃に、青山ブックセンターへ用があって六本木へ行った時のこと、なんの前触れもなくWAVEはそこにあった。記憶の中にあるそれは、真っ黒で角がガラス張りの円筒形になったビルの頂上に、巨大で白いWAVEのロゴ。下手すりゃラブホだ。
 レコードショップと言えば商店街か、ビルの何番目かのフロアーにあるものであり、この外観はレコードショップのイメージとはかけ離れており、そのイメージが最後まで残ったんだと思う。
 なんだなんだこの建物は思って足を踏み入れると、右手にいきなりビデオレンタルのコーナー、左手には何やら青いボトルが沢山並んでいたような気がするのだが、これは記憶違いかも。ビデオのレンタルコーナーは、もっと後になってからだったかも知れない。
 正面には大きなブラウン管があって、たしかYMOの映像が流れていたと思う。圧倒されて暫く呆然と立ちつくしていた記憶がある。
 二階はより上はレコードショップになっていて(ビデオも扱っていた。当時まだCDは無かった)、観たことも聴いたこともないようなアーティストの作品ばかりが並んでいた。当時の私はロックとフュージョン、時々クラシックだったので、立ち並ぶ民族音楽やヨーロッパのアンダーグラウンド系の音楽はほぼ未知の領域。一巡りして外に出ると、地下には六本木シネ・ヴィヴァンという映画館。これでレコード店と思えという方が無理な話で、それ以来WAVEは音楽やら映像やらの、かなり先端的なものを扱う一種デパートのようなものと言う認識で、自分的には青山ブックセンターとセットのような感覚で捉えていたと思う。
 しかしこの頃はまだ、この建物が日常的に身近な存在になろうとは、夢にも思わなかった。
 その後本格的に音楽でやっていく決心をして、様々な幸運が重なってCM音楽の作曲を依頼されるようになり、その録音のため、今や六本木ヒルズに踏みつぶされてしまった、旧テレビ朝日のレコーディングスタジオ(テレビ局の録音スタジオだけあって、映像と音楽を合わせるのに好都合だったため、CM音楽録音では、ここが定番スタジオの一つだった)に足繁く通う事になるのだが、実に都合の良いことにWAVEはこのスタジオの目と鼻の先にあった。当然、録音の前後にここに立ち寄り、資料になりそうなレコードを物色するのが、ほぼ日常となった。当時のCM音楽は、ある種実験の場でもあり、CM音楽の作曲家は競うように新しいアイデア、新しい手法を取り入れては実践していたのだが、WAVEの品揃えは、まさにそういうことの為のネタ探しにはうってつけだったのだ。だって試聴できるし。
 私のCM作品でも、ガムランを取り入れたり、効果音でリズムを刻んだりというのがあったのだが、それはスタジオの行き帰りにWAVEに足を運んだた結果だと思う。まさにReserch&Developmentそのものだ。
 しかし考えることは皆同じらしく、ここに来ると、必ずと言っていいほど同業者に出くわした。これが、WAVEがミュージシャン's ミュージックショップだと言う理由の二つめだ。
 その後、このWAVEの最上階にあったCM制作会社からも仕事を受けたりして、ますます関わりを深めていくのだが、やがてこの建物を完全攻略する日が来るとは、まだ想像していなかった。
 私はCM音楽を作曲する傍ら、シンセサイザーのプログラミングをやったりキーボードを演奏したりと、所謂スタジオ・ミュージシャンもやっていたのだが、ある日沢田研二さんのアルバムレコーディング(架空のオペラ 1985年)にお呼びがかかり、その現場がWAVEの最上階にあったSEDICと言うスタジオだった。SEDICは「SEIBU DIGITAL COMUNICATIONS」の頭文字を取った社名だそうで、このスタジオはそこが所有するもの、先のCM制作会社もここの一部だったと思う。ビルの最上階にあるレコーディングスタジオというのも珍しく、それがある種の音楽シーンでは、もっとも先鋭的な情報発信元であったWAVEの最上階にあると言うことで、ショップの入り口とは反対側にあるスタジオ行きのエレベーターの中で、妙な高揚感を感じたのを今でも覚えている。勿論レコーディングが進んで環境に慣れてしまえば、ごく当たり前の現場の一つになってしまうのだけれど。
 このスタジオ、おそらく時代の最先端を行くことを意識して設計されたのであろう、他のレコーディングスタジオとは雰囲気がどこか異なっていた。機材など細部をはっきり記憶していないのが残念だ。
 沢田研二さんという大物歌手のレコーディングに参加することになって、しかも殆どの作曲と、全ての編曲を担当して、録音現場のリーダー的存在が、子供の頃から憧れの存在だった大野克夫氏だったこともあって、ちょっとアガっていたのかも知れない。まさかタイガースヤスパイダースの元メンバーと、一緒に仕事をするようになるなんて、プロになってからも想像していなかったのだ。
 レコーディングはほぼ毎日のように行われるので、当然毎日WAVEのあるこのビルに通う訳だが、WAVEへ行くには一旦一階に下り、徒歩でビルの反対側に回り込んで入り直さないと行けないため、レコーディング中は一度もショップを覗かなかったように思う。
 余談だがこの録音現場では、加藤和彦氏がいきなりドアを開けて入ってきて、やあやあどうもどうもと言いながら、そのまま反対側のドアを開けて消えて行ったというハプニング(?)があった。全員、ポカンとしていたが、あれは多分スタジオを間違えたのではないかと思う。
 いずれにせよ、私にとってはレコーディングスタジオもシネ・ヴィヴァンも全て含めて「WAVE」だった訳で、やはり単なるレコード店という見方が出来ないのは当然と言えば当然だ。
サラ・マクラクラン
六本木WAVEで輸入盤を独占的に販売、ショップの歴史に残る販売数を記録して国内盤発売に結びついた。その後、世界ではグラミーを何度も受賞するなどビッグネームとなった。(編集部)
価格:2,548 円
発売:1991.10.21
ジプシー・キングス
誰もがワールド・ミュージックを気軽に聴くようになるきっかけとなったバンド。「ジョビ・ジョバ」が大ヒット。(編集部)
価格:2,520 円
発売:2005.08.24
 さて、六本木WAVEが“ある種の音楽シーンでは、もっとも先鋭的な情報発信元だった”と書いたけれど、これは決して大げさではない。事実ここで紹介されステイタスを得たミュージシャンは国の内外を問わず数多い。逆に言えば、WAVEが紹介しなければ、無名のままだったかも知れないアーティストが沢山いたのである。例えばサラ・マクラクランとかシャーデーとかジプシー・キングスなどがそうだ。バグダッド・カフェのサントラも一時話題になったけど、それもここが震源地だった。
 これが六本木WAVEをミュージシャンズ・ミュージックストアとする三番目かつ大きな理由である。他では全く顧みられることの無かったアーティストが、ここで取り扱われ、プッシュされることで社会的認知度が上がるのだ。これは普通のレコード店の役割を遙かに超えている(よく考えれば、まさにこれこそがレコードショップの果たすべき社会的役割なんだけれど)。
 しかしその裏で、六本木WAVEではよく売れるのに他ではさっぱり、というアーティストもこれまた数多く存在した。この傾向は90年代に入って顕著になったように思う。個性の強い、コマーシャリズムに迎合しないタイプのアーティストが多くこの類に属していた。一般受けしそうにない作品を作ると、仲間同士で「WAVEなら○○○○枚はイケるかもね」なんて言う会話が交わされたのである。実際WAVEで何枚くらい売れるかの見通しに基づいて制作費を算出している人もいたりして、今考えれば微笑ましくもあるのだが、その当時は真剣で、ある意味、アーティスティックな道を行くミュージシャンにとっては、聖域だったのかも知れない。手前味噌だが、私が去年からリリースした2枚のソロ・アルバムと、一枚のトリオ・アルバムも六本木WAVEがまだ存在していれば、取り上げて貰えるかどうかは別として、間違いなくこっちの仲間だっただろう。
 近年、音楽がデータで流通するようになるに連れ、CDそのものが音楽を媒介するメディアとして弱くなり、かといってネット上にはあまりに多種多様な音楽が溢れて、自分の聴きたい音楽が一体どこにあるのか見つけるには、膨大な根気と、たぐいまれな幸運に恵まれないといけないと言う状況の中、自らが自己主張をし、マイナーカルチャーを押し上げる役割を果たすショップ。つまり人が聴かないもの聴きたければ、ここで探せと言う、ベクトルが限定された検索エンジンとして機能するレコードショップ、そろそろ復活しても良いんじゃないかと思うのだ。いや、もう一歩進んで、復活して欲しい。

生方ノリタカ 作品
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生方ノリタカ 1stソロアルバム Pictures (製品番号NUP0001)価格¥1575
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1. Savannah Crossing
2. Living on the Water
3. Ghosts are Floating around Looping Stairway
4. Intriguing Old Men
5. Poison Horizon
6. Love song for cats
7. Lake Underground
8. Mud Island
9. The Forest of Life to The River of Love
生方ノリタカ 2ndソロアルバム Thereminotopia (製品番号NUP0002)価格¥1575
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1. Monster in The Dark (Weak)
2. Sorcerer
3. Suikinkutsu
4. Alchemists
5. Dream of Ubiquitous Bard
6. Alien's Dinner
7. Impromptu of Inane
8. Suite:Thereminotopia
* Thranimals
* Thereminotauros
* Thereminosaurs
9. Live Long and Prosper

10. Bonus Track : Mocimaf Blues
テルミン・尺八・コントラバストリオ Lucky LIfe Mountain 価格¥2000
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1st Album "Infinity Live" (NR-L001) 
【収録曲目】
1、鎌鼬 Kamaitachi (Cutter Wind) / Ubukata
2、無限 Mugen (Infinity) / Lucky Life Mountain
3、山寺 Yamadera (Old Temple In Mountain / Ubukata
4、侵入 Shinnyu (Intrusion) / Ubukata
5、蛙  Kaeru (Frog) /Ubukata
6、薪  Takigi (wood fuel) / Ubukata
~Bonous Tracks~
7、Inprovisasion (Recording of first session in 2007)
8、地底湖 The Lake Underground / Ubukata
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