ジャック・ルーシェ(Jacques Loussier, 1934年)は、フランス人のピアニストであり、1959年にルーシェは「ジャック・ルーシェ・トリオ」を結成(ベーシストのピエール・ミシュロ(Pierre Michelot)、ドラマーのクリスチャン・ギャロ(Christian Garros))。一般に「トリオ・プレイ・バッハ(Trio Play Bach)と呼ばれるのは、J.S.バッハをジャズトリオの構成で演奏したことに由来している。
新しいこと、アバンギャルドなことはフランスで起こるものなのか、1959年、おしりもモダンジャズが絶頂期の翌年に、クラシックの聖典である、J.S.バッハの名曲をピアノトリオで演奏するわけだが、特にクラシック界から非難の声が上がったという。「音楽の父」の作品を不謹慎な演奏で、けしからんというわけだ。しかし、これが世界的な大ヒットとなりミリオンセラーとなる。
紹介するアルバムは、ジャック・ルーシェ生誕70周年を記念して発売された、The Best of Play Bach。録音は1993年、1994年。Studio Miraval, Le Val, France。ハイブリッド版であるから従来のCDプライヤーでもOK。メンバーは、ジャック・ルーシェ(p)、ヴァンサン・シャルボニエ(b)、アンドレ・アルピノ(ds)、編曲:ジャック・ルーシェ。
録音は極めてデッドでクリアーなサウンド。SACDの良さを最大限に発揮するようにレコーディングされたと思われるが、その狙い通りの切れ味、スピード感、ワイドレンジな録音に仕上がっている。感心するのは、演奏時の各楽器の放つメカニカルノイズがほとんど聞こえないことである。これはピアノトリオの場合、好き嫌いがあるかもしれない。もっとも、ピーターソン、パウエルのように唸りながらというのはいかんともしがたいだろうが。
クラシックの素材をジャズで取り上げることは、彼以降普遍的な企画となるのだが、バッハばかりをここまで極め続けた、ジャック・ルーシェは、バッハの研究家と言える存在だろう。