サックス、トランペット、トロンボーンによる3ホーンフロントセクションの一大傑作。本作品『ブルートレイン』は、コルトレーンがブルーノートに残した唯一のリーダーアルバムとして語られる。録音は、1957年。
コルトレーン作品として本作を紹介するのではなくて、3ホーンジャズの傑作としてご紹介しよう。
テナーサックスは、リーダーのコルトレーン、トランペットは、リー・モーガン、そしてトロンボーンは、カーティス・フラーである。楽器の特徴から述べると、テナーサックは木管楽器として分類されるが、成り立ちは他の金管と同じブラス(真鍮製)である。そしてテナーは、B管である。トランペットは金管楽器で、ジャズではほとんどの場合、B管が使用される。トロンボーンも金管楽器で、他の楽器が明確な調を持つが、スライド楽器という構造上の特徴から無調楽器して扱われる。楽器の特徴からくるアンサンブルでは、B管同士のテナーサックスとトランペットは抜群の相性で、同じ調子であることからもユニゾンでメロディーラインを取ると怒濤のドライブ感を醸し出す。トランペットとトロンボーンは、共にベルがフロントを向き、アンサンブルとして最高のコンビネーションを持つ。クラシックの楽曲では作曲家がそれずれの楽器の特徴や組み合わせを理解して作曲されるのではあるが、ジャズの世界、それぞれのアーティストが即興でモザイクのように楽曲を組み上げていく作業では、人間の五感、フィーリングというか、これで「決まる!」という瞬間が支配的になる。だからこそであるが、決まった瞬間は全身に鳥肌が立つ。
フロント3ホーン形式によるセクステッドは、ジャズの醍醐味を与えてくれる。そして、そのドライブ感は爽快かつ豪快。コルトレーンの作品として本作を考えるよりも、コルトレーン、モーガン、フラーの3人による一期一会としての作品であり、以後これを超える3ホーンジャズは生まれていない。
それにしてもだ、本アルバムにおけるリー・モーガンのソロは、目の覚めるような火を噴くようなアドリブだ。ジャズ史上傑出しておりクリフォード・ブラウンを超えたといっても過言ではないだろう。