というわけで、私は、ジャズという芸術を初めて認識したのは、オスカー・ピーターソン、ジョー・パス、そして、ニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセンらによるパリコンサート1978年であり、ちょうど二十歳の時である。
この3人によるジャズは、ピアノ、ギターというともにソロ楽器に加えて、ベースでソロが可能であり、ソロが3人のトリオという音楽の表現形式を即興で演ずるというそれまでにない音楽の有り様が提示されたと言うことである。それまでベースソロというのは、リズムセクションとしてのソロであり、展開された和声においてドラムよりは表現力があるということだろう。
ペデルセンは、パス、ピーターソンと同等の信じがたいテクニックで、メロディーラインを歌いながら、ベース特有のリズム感を奏でることができる。同じ、弦楽器のパスが『バーチュオーゾ』で、達成したメロディーとベースを一人で同時に演奏する技法が、ペデルセンにベースの表現力を開放したのかもしれない。
ペデルセンは、そうしたベーシストとしての特筆すべき個性と、ケニー・ドリューとの長年にわたる創作活動が挙げられる。そして、紹介するアルバムは、1993年に他界したケニー・ドリューに捧げるアルバムで、1995年に録音された。プロデューサーは、ケニーと親交深かった、木全信氏である。
ペデルセンの業績は、ジャズ史上においてたいへんに重要な位置づけにあり、彼の参加したアルバムは500枚を超えるという資料性も分析されるべきと思う。ペデルセンは、2005年4月19日、コペンハーゲンで亡くなったが、58歳という若さだった。若干16歳でプロで活躍を始めた早熟の天才は、巨匠と呼ばれる前にジャズの歴史となってしまった。