オーディオファンは、音楽ファンではないという揶揄を時折聞かされた。それももう何十年も前のことだ。オーディオが爆発的に広まったときに、日本人達は、「音」を探し求めたからだ。一方、楽器を趣味にしたり、本業の人たちは普及するオーディオの音に、音楽を見つけることが出来ずに、結果的に冒頭の揶揄に繋がる。
アパートの一室に巨大なスピーカを入れて、機器の性能に惚れ込んであーだのこーだのという人たちと、演奏を楽しみとする人たちの間には、接点などあろうはずもない。
しかし、その熱狂な協奏曲のようなオーディオブームは、あっさりと消え去り、ウォークマンの時代あたりから、音楽は携帯されるようになり、オーディオはひっそりと生き延びた人たちによって愛され続けている。
そんな生き延びたオーディオファンの切なる願いは、どうか、素晴らしい音楽を良質なパッケージで提供して欲しいということに他ならない。遅かれ早かれパッケージメディアは衰退し、オンラインの時代が来るであろうし、そこでも新しいテクノリジーによって高音質な音楽、楽曲が提供されるであろう。しかしながら、私個人としては、死ぬまでパッケージメディアを愛し、それがどれだけ生活空間を圧迫し、雑然とした部屋になろうが、幸せなのである。
ソニーは、フィリップスと共同でCDを世の中の送り出し、LPを駆逐して音楽のデジタル化を促進したが、さらなる目標を掲げ、CDの最高峰とも言えるSACDを生み出した。しかしハードが売れない、ソフトがついてこないとなると、あっさりと手を引いてしまった。私は紛れもないソニーエイジで、ベータもテレビもソニー製を使ってきて何度か裏切られては来たが、今度という今度は許すまいと誓っている。
世の中には、それでも音楽を愛している人たちが、自分の信念でパッケージメディアやハードウエアを黙々と送り出している人たちがいるが、彼らには顔がありプライドがある。
そんな人たちが作り出す音楽を紹介していこうと思う。